こんにちは、哲舟(てっしゅう)です。
初回の更新から、しばらく間があいてしまい、すみません。
さっそく前回の続きを綴っていきたいと思います。
『
舩坂酒造店』を出て、次に入ったのがすぐ向かいにある蔵元
『
原田酒造場』だ。こちらも相当な老舗の蔵元さん。
原田酒造場というより、「山車」(さんしゃ)という銘柄名で記憶しておられる方も多いかもしれない。
創業は、江戸時代の安政二年(1855年)というから、いわゆる幕末のころ。
ペリーの黒船が来航した2年後のこと、でまさに激動のさなかにできた。
「山車」は、高山祭の絢爛豪華な祭り屋台「山車」(だし)にちなんだネーミングだ。
私は、最初「だし」とそのまま読んでしまった・・・けれども、「さんしゃ」が正しいそうです(笑)。
前置きはさておいて、さっそくお酒をいただこう。
さすがは造り酒屋。実にたくさんのお酒が並んでいる。
こちらでは、その時々のおすすめを甕出しで提供していることもある。
瓶から注がれるのはもちろんだが、こうして勺で注がれると余計に嬉しくなるではないか。
「金印辛口」「秘蔵原酒」と、それぞれ特徴のある味わいだが、
ひとことでいえば、山車の味は丁寧でやさしい。
手間隙を惜しまずに造られた、正真正銘の「飛騨の酒」といった感じがした。
ああ、ここに「朴葉みそ焼き」があったらな~(笑)。
原田酒造は、先の「船坂酒造店」同様、
店内はなかなかスタイリッシュな造りをしているのだが、
一角にはこのように酒蔵の入り口があって、造り酒屋らしい雰囲気も残っている。
昼食でも食べようかと、少し高山の町をぶらついてみる。
「肉の匠屋」で、飛騨牛まぶし(1500円)を食べてみた。
飛騨牛のそぼろご飯といったもので、うなぎの「ひつまぶし」のように、
最初はそのまま、次に薬味を入れて、最後にお茶漬け、といった具合に、
3度違う味が楽しめておいしい一膳だった。
名物の飛騨牛を味わったので、ふたたび酒蔵を訪ねてみよう。
次に向かったのは「ひだ正宗」で有名な、
川尻酒造場。
こちらでは、3種の地酒が試飲できると聞いて立ち寄ってみた。
こちらも江戸末期、天保10年(1839)創業。
ちょうど社長さんがいらして、試飲セットを自ら注いでくださった。
これが3点400円なんて、幸せな限りだ。
飛騨の酒は限定生産なので、本当に地元でしか飲めないものが多いのだが、
川尻酒造場はその代表格ともいえる。小さな蔵だから、数が少ない。
でも造るお酒は絶品。糖類、調味液の使用、桶売りを全廃して、
数年の貯蔵期間を置く熟成古酒に特化するという、昔ながらの製法にこだわっている。
頂いたのは「原酒ひだ正宗」 「本醸造 天恩」 「純米 山ひだ」の3種。
それぞれに特徴があって、ひとことで説明するのは難しいけれども、
純米は米本来のまろやかさが感じられ、原酒と本醸造はとてもストレートに
主張してくるような力強さがある。個人的には原酒がとても気に入った。
非常にコクがあって、これぞ日本酒という迫力が十二分に出ていた。
ストイックな姿勢を貫きつつも、マサムネくんなどのオリジナルキャラクター入りの
Tシャツを販売するなど、親しみやすさがある蔵元さんだ。
限定醸造ながら、直接買いたい人はもちろん電話などで注文すれば買うことができる。
日本酒は世界に誇れる日本だけの財産。外国人もその味を楽しみに数多くたずねてくる。
日本語に少しの英語を交え、社長さんは丁寧に応対されていた。
このホスピタリティも、日本というか高山ならではだろう。
さて、さすがにほろ酔いになったので、ゆっくり歩きながらまた陣屋のほうに戻る。
陣屋から少し東へ歩くと、高山城跡にたどり着く。
二の丸の跡が公園になっていて、ここに建っているのが、
戦国武将の金森長近(かなもり ながちか)の銅像。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と天下人3人に仕えた名将で、
飛騨高山藩の初代藩主になった人だ。
「長近」の長は、信長から一字をもらったほどだから、
信長からはかなり期待をかけられた人で、果たしてその通りに出世した。
話題の映画「清須会議」にもチラッと登場する。
さて、こんなに飲んだあとに本丸まで登るのは、ちょっと大変だし、
身体にも良くなさそうなので、このへんにしておこうか(笑)。
今日はお酒はこのぐらいにして、もう少し高山の散策を楽しむことにしよう。